神戸三ノ宮 古本屋めぐり

3月の中旬頃の話になるが、神戸に出張する機会があったのでその時の話を。

時間があったので、ぶらぶらと神戸三宮駅あたりを散歩していたらなんとなく気になる古本屋があった。駅のすぐ近く。太宰治が好きなので、もしかしたらこういう古い古本屋(ブックオフなんかじゃない)には太宰治の当時の単行本が残っていたりするんじゃないのか、とか思って物色するも特に収穫は得られず。ただふと目についたカフカの「変身」があったので購入した。

ホテルで夜読んだが、なんとも悲惨というか、陰鬱な話だが、そこにはただ虫のように変身してしまったという奇妙な話という表層の下に「普段通りの日常をある日送れなくなってしまった人間」の悲壮感が描かれていて、なるほど、これが名著なのかと思ったりもした。

X-E4; Wtulens L; Eterna; ss 1/15
X-E4; Wtulens L; Eterna; ss 1/22

今回は荷物の都合上、X-E4とWtulens Lという組み合わせ。これだと上着のポケットに入るスリムさなので、荷物が多い出張でもかさばらない。

神戸といえば明石焼きかなと思って(あまりもともと好きじゃないけど)明石焼きを食べたが、やっぱり卵焼きぽくて苦手だなあと再確認した。

夜はセンター街にある中華料理店で蘭州拉麺を食べた。すごく美味しかった……。

翌日は雨の三宮に繰り出したが、昔、日帰り卒業旅行で友人と来たときのことを思い出してしんみりしてしまった。

時間を見つけて神戸市立博物館へ立ち寄ったり。面白かった。

中華街でぶらっと立ち食いしたり。このあたりから昨日の太宰治の古本を探そうという気持ちがふつふつと沸き上がってきていた。

結構神戸三宮あたりには古本屋が多く並んでおり、徒歩で一駅二駅くらいの距離の間に結構あった。定休日で行けなかったところもいくつかあったが。上の写真の古本屋、「読尊」では所狭しと本が積まれているものの、一応著者のあいうえお順で整理されていたり、エクセルで在庫管理をしていたりしていて探してもらうことができた(が、なかった)。

こちらの古本屋、「精泉堂」には太宰治の単行本の初版がガラスケースの中に陳列されていたが、流石に手が出る価格ではなかったのでこれから回る古本屋で見つかることにかけてスルー。

こちら、「本の栞」はGoogle mapでは古本で出てくるが、ほとんどが新品の本。ただ店主の「色」が出ており、芸術、文学を中心とした「ココロ」を揺り動かすような本を多く取り扱っていた。私の好きな町田メロメ「三拍子の娘」を取り扱っていたので、いい店だ。

こちらはいくつか「神戸古書倶楽部」として提携している古本屋の一つ。結構な数のジャンルを取り扱っていた。純文学はそう多くない。が、偶然にも室生犀星「随筆 硝子の女」を見つけたので購入。ラッキー。

こちらはこうべまちづくり会館の中にある古本屋。結構最近の文庫本を多く取り扱っている様子だった。

この「古本屋 サンコウ書店」は天井まで高く狭く本を詰め込んだ店だったが、どういうことか武道に関する古書を多く取り扱っているという色が見られた。

この「文紀書房」はおばあさんが一人奥で座っている昔ながらの古本屋という感じで、店頭で100円の夏目漱石「こころ」を見つけたので購入。ペラッペラの紙の時代の文庫本で何か感じるものがあったので。店主に太宰治はないかと尋ねるもやはりないようで。残念。

そんなこんなでこれだけ結構回ったが、今回の神戸出張で購入した古書は三冊。

X-E4; VOIGTLANDER NOKTON 35mm F1.2; Classic Negative; f1.2; ss 1/676

室生犀星のこの硝子の女はきれいな表紙でお気に入りだ。

たまたま行った先で思いつきで始めた古本屋めぐりだが、これからまた「古本屋めぐり」という趣味を開拓してもいいのかもしれない。何か掘り出し物に会えるかも。そういえば私の好きな「恋は雨上がりのように」も古本市で主人公が「古はがき」を手にするシーンがあったっけ。今回の古書店にもそういう昔の誰かに宛てた手紙や葉書を取り扱っている店もあったので、ノスタルジーを求める人々はなくなってしまうまえに行こう。

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